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学童保育所待機児童解消がもたらした問題

放課後児童クラブ(学童保育)の受け皿拡充は急がなければいけない問題です。

預け先がなければ安心して働けないですし、子どもを産み育てるために必要でしょう。

しかし、待機児童解消ばかりに目を向けていると受け皿が足りていないのに待機児童はいないという児童の「詰め込み」による学童が生まれてしまいます。

施設運営者や支援員に関する見直しも必要になってくるのではないでしょうか。

待機児童解消の裏の「詰め込み学童」

「子どもたちが劣悪な環境にさらされている」という訴えが寄せられている学童保育所。

働く保護者の多くが利用している学童保育所では、定員をこえて子どもを受け入れる「詰め込み学童」が横行しています。

定員40人の基準を越えて受け入れている「詰め込み学童」は全国で約1万2000クラスと言われ、全体の36.3%を占めることがわかっています。(2022年度全国学童保育連絡協議会調べ)

全国学童保育連絡協議会の事務局次長の佐藤愛子氏は、「詰め込みは、けがや事故が増えたり、ささいなことでけんかになったりして子どもへの負担は大きい」と指摘しています。

また、「子どもが両手を広げられないほど詰め込まれ、まるで鳥小屋のようだ」「事故が起きないか不安を感じるが、働くために預けざるを得ない」といった保護者の声も聞かれました。

表向きは待機児童が解消した、とされている状況でも、受け皿が足りていないので子どもたちが詰め込まれるだけのため、問題がすり替わっただけのようになっています。

義務ではない教室の定員

定員40人以下といった基準ですが、これは義務ではありません。

保育士業務全般言う施設のように国が運営基準を定めている学童保育ではなりますが、定員1クラスが「おおむね40人以下」という基準は「参考」「目安」であって、「義務」ではありません。

「共働き子育てしやすい街2021」で総合一位をとり、共働きの保護者のニーズに応える子育て支援を行っているとして知られ、市の最重要施策の一つとして子育てしやすい街づくりを掲げている千葉県松戸市。

現在約4600人の子どもが学童を利用し、表向きは待機児童ゼロです。

しかしその実態も同様に、表向きは待機児童ゼロですが、1教室に約120人が詰め込まれる「詰め込み学童」。

年々増える希望者をすべて受け入れるため、多くの施設が飽和状態です。

「学校に協力を仰いだり、民間の空き物件を探したりしているが、対応が追いつかない」

「定員40人以下という基準はクリアすべきだが、働く保護者のために受け入れたい。かといってすぐに施設を増やせるわけでもないジレンマに苛まれる」

松戸市子育て支援課の担当者もこぼしています。

学童保育の支援員からも

「天候不良で校庭が使えなかったり、寒さや暑さで校庭に出なかったりすると1教室に100人以上の子が詰め込まれる」

「児童が体調不良を訴えてもゆっくり横にならせる場所がない」

とその実態について声があげられている状態です。

利用児童が増え施設も支援員も足りない

「異次元の少子化対策」を打ち出している岸田政権。

児童手当の拡充などが柱となっていますが、保育園や幼稚園だけでなく、学童保育所も含めた保育サービスの拡充もその対策の一部とされています。

共働き家庭は今後も増え続け、学童保育の利用者数は右肩上がりです。

厚生労働省の調査によると、2022年5月の時点で139万2158人となっています。

そのうち待機児童は1万5180人で、2014年から1度も1万人より減少していません。

自治体や保育系企業、保護者の有志が学校の空き教室や児童館などを利用して学童保育を運営していますがそれでも足りないのです。

厚生労働省は待機児童解消のため、2019年度から5年間で学童の受け皿を30万人分増やす計画を進めていますが、3年目となった2022年5月の時点で達成率は5割ほど。

また、学童保育の施設不足とともに問題となっているのが放課後児童支援員や学童保育指導員の人材不足。

全国学童保育連絡協議会によると、週20時間以上勤務する学童スタッフのうち6割が年収200万円未満とのことです。

学童保育所で見守る児童と保護者の子育て支援も兼ねるため、その負担は大きいもの。

セカンドキャリアとして定年を迎えた教育者や保育士の卵である学生が多く支援員に就いていますが、長く努められません。

保育士と同様に人材確保のための処遇改善が課題となっています。

全国学童保育連絡協議会事務局次長の佐藤愛子氏は

「社会の関心は待機児童解消に集まりがちだが、そのために詰め込みになっては本末転倒。支援員の処遇改善も重要だ。適正な人数で子どもたちが安心して通える受け皿を整備してほしい」

と訴えており、多くの学童保育施設の運営者も「異次元の少子化対策」に期待をしています。

いかがでしょうか。

例に挙げられた千葉県松戸市は保育園や幼稚園の保育施設をこの5年間で109施設も増やしています。そこから小学校にあがると定員の基準を大幅に越えた学童保育所に預けざるを得ない状況です。

待機児童を解消させても子どもたちを安心して安全な施設に預けるのが難しい状況と言えるでしょう。

学童保育の拡充、支援員の処遇改善とともに、ICTシステム導入の補助など学童保育を運営していくための補助の拡充も期待されます。

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