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過密カリキュラム!?小学4年生以上は毎日6時間目まで授業

「多くの小学校では、4年生以上の児童が毎日6時間の授業を受けることが負担になりすぎていると感じられる状況です・・・」このような問題意識を持った大学教授や小学校教員たちが、授業時間数についての分析をまとめた書籍を発刊しました。
また、年内に中央教育審議会で新しい学習指導要領についての議論が始まることを見据え、授業時間の在り方に関する指針も提示されています。
1994年4月から、全国の国公立の幼稚園・小・中・高校・養護・盲・ろう学校において、毎週土曜日が休みとなりました。
それまでは、土曜の午前中に授業があり、なんとか分散がされていたようです。しかし今更土曜授業を再開するのは難しそうです。学童保育は、そのように日々疲れている子ども達が安らげる場になることを望みます。
(※2024年10月1日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

子どもに優しい教育を目指して。カリキュラム過密問題を現場から提言

週5日制であるにもかかわらず、6日制と変わらないほどの授業時数が課されている現状では、子どもの集中力が持続せず、ストレスやイライラを招くことがあります。この課題を解決し、子どもが安心して学べる教育課程を目指すために、現場の声をもとに提案が行われました。
書籍『学校の時数をどうするか 現場からのカリキュラム・オーバーロード論』(明石書店、税抜き2400円)は、東京学芸大学の大森直樹教授(教育史)が編著したもので、兵庫県芦屋市立小学校で教員を務めた永田守さん、北海道滝川市立小学校教諭の水本王典さん、神奈川県鎌倉市立小学校教諭の水野佐知子さんが執筆に参加しています。
「カリキュラム・オーバーロード」とは、教育課程が過剰に組み込まれ、子どもに過度の負担を与える状態を指します。大森教授は、「国が定めた教育課程基準に基づき策定された学校の教育課程が、時数や内容の面で過剰となり、子どもたちに大きな負担を強いている」と指摘しています。

子どもの疲れから見えた課題、授業時数増加の背景を探る

約10年前、大森教授が学童保育の指導員から聞いた一言が問題意識のきっかけとなりました。「子どもが学校から学童に来ると、疲れ切っているんです。」この現状に疑問を抱いたことが始まりでした。
文部科学省は学習指導要領の改訂ごとに、学校が教育課程を組む際の基準となる「標準授業時数」を見直してきました。例えば、小学4年生の標準授業時数は、1977年の週6日制時代には1015コマ(1コマ=45分)とされていました。その後、「ゆとり教育」が最も進んだ1998年には945コマに削減されましたが、学力低下への批判を受けて再び増加し、2017年改訂では週5日制にもかかわらず、1977年の週6日制と同じ1015コマまで膨らむ結果となっています。

増え続ける授業時数の影響・・・現場からの声に耳を傾ける

学校行事など特別活動をどの程度「標準授業時数」に含めるかは、学習指導要領の改訂ごとに変わってきました。この点を踏まえ、大森教授が平日1日あたりの授業時数を計算したところ、2017年改訂では6コマとなり、1977年の5コマを上回っていることが明らかになりました。
永田さんをはじめとする3人の教員は、この変化がもたらした影響を振り返り、「2017年改訂の授業時数が最悪だ」との見解で一致しています。永田さんは「現在の状況は、まるで何もかも詰め込んだてんこ盛りの状態。毎日が食べ過ぎのようなものです」と語ります。一方で、水本さんは「6時間目になると、子どもたちの集中力が切れ、イライラしてトラブルが多発しています」と現場の苦境を訴えています。また、水野さんは「『子どもたちの実情に応じて学校ごとに柔軟に考える』という姿勢が失われている」と問題点を指摘しました。

授業時数と子どもの生活の適応性-教員調査から見えた課題

大森教授は2023年7月から9月にかけて、公立小学校教員を対象にインターネット調査を実施しました(回答者数:2,445人)。その中で、1998年以来3回の標準授業時数を経験した教員668人にアンケートを行ったところ、子どもの生活に「合っていた」または「やや合っていた」と答えた割合が最も高かったのは、1998年の授業時数(471人)でした。一方、最も低かったのは、現在の2017年時数(109人)という結果が出ました。
また、新型コロナウイルスの影響で臨時休校があった2020年度における対応についても、3人の教員が振り返りました。授業内容を精選し、授業時数を減らす工夫を行ったことで、子どもたちがより安心して学べる教育課程を構築できたという共通の結論に至りました。

小学校時数の見直し提言。現場から生まれたガイドライン

これらの検討を踏まえ、大森教授は「小学校時数ガイドライン」を提案しました。第一に、「授業時間数の見直し」を掲げ、1日の授業を5時間までとすることを提言しています。次に、「教科・領域の新設時数を白紙化」することを求めています。これは、2008年および2017年の改訂において、従来の教科の時数削減を行わずに外国語活動や外国語科が新設された結果、子どもや教職員に過大な負担がかかったためです。
さらに、第三の提案として、「教科の時数を35の倍数に統一」することを挙げています。年間35週で編成される学校の教育課程において、35で割り切れない教科があると時間割の調整が複雑化するためです。そして、第四に、「特別活動の時数を70時間に設定し、児童会活動などを充実させる」ことを提案しています。
大森教授は、「時数の在り方を現場から提起することが、これほど重要になっている時期はありません」と強調しています。

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