【施設運営者向け】なぜ続かない?学童保育指導員の退職理由と対策法
共働き家庭の増加などを背景に、放課後の子どもたちの生活を支える学童保育の重要性は高まっています。その一方で、現場を支える放課後児童支援員や補助員などの人材確保・定着は、学童保育を安定して運営するうえで重要な課題です。
「採用しても長く続かない」「経験のある職員が辞めてしまった」という悩みを抱える施設は、全国的に少なくありません。退職には一人ひとり異なる事情がありますが、職員が働き続けやすい環境をつくるためには、現場の負担を把握して改善していくことが不可欠です。
学童保育の現場で負担につながりやすいポイントと、施設側で取り組める対策について考えてみましょう。
理由①人手不足による業務負担
学童保育では、子どもの見守りだけをしているわけではありません。出欠確認、保護者対応、おやつの準備、行事の企画、清掃、記録作成など、さまざまな業務があります。
限られた人数で多くの業務を担当すれば、一人あたりの負担が大きくなってしまいます。さらに、職員が退職すると残った職員の負担が増え、それが新たな離職につながるという悪循環も避けたいところです。
まずは「誰が・何に・どのくらい時間を使っているのか」を確認し、業務そのものを整理する必要があります。
理由②勤務時間や雇用条件が合わない
学童保育は、学校の授業が終わる時間帯から利用が増えるという特徴があります。
そのため、午後からの短時間勤務やシフト勤務など、施設によってさまざまな勤務形態があります。一方、夏休みなどの長期休業期間には朝から開所する施設もあり、普段とは異なる勤務になることも。
採用時に勤務時間や仕事内容について十分な認識合わせができていないと、「思っていた働き方と違った」というミスマッチにつながりかねません。採用時には通常期と長期休業期間の違いも含め、具体的な働き方を伝えておくことが大切です。
理由③保護者対応や人間関係の負担
子どもだけでなく、保護者やほかの職員とのコミュニケーションも重要な仕事です。子ども同士のトラブルやけがなどが発生すれば、状況を正確に把握したうえで保護者へ説明する必要があります。
また、職員間で子どもへの対応方法が異なると、「誰に相談すればいいのか分からない」と新人職員が悩んでしまうケースもあるでしょう。
トラブル対応を個人任せにせず、施設として対応方針や報告ルートを決めておくことが重要です。定期的なミーティングや面談を設け、困りごとを早めに共有できる環境をつくりましょう。
理由④事務作業が多く子どもと向き合えない
「子どもと関わる仕事がしたい」と学童保育の仕事を選んでも、実際には記録や集計、シフト管理などの事務作業が発生します。
紙の出席簿から利用状況を集計したり、勤務時間を別の表へ転記したりしていると、少しの作業でも積み重なれば大きな負担に。記入漏れや転記ミスがあれば確認や修正も必要です。
職員を増やすことだけを考えるのではなく、「今行っている事務作業を減らせないか」という視点も持ってみましょう。
対策①新人を一人にしない仕組みをつくる
新人職員が入ったら、業務を説明して終わりにするのではなく、相談できる担当者を決めておく方法があります。業務マニュアルやチェックリストを整備し、「分からないときに何を確認すればよいか」を明確にすることも有効です。
特に子どものけがや保護者からの問い合わせなど、判断に迷いやすい場面については、対応方法を職員間で共有しておきましょう。
対策②業務を見える化して偏りを減らす
「いつも同じ人が残業している」「ベテランだけが保護者対応をしている」といった状態になっていないでしょうか。日々の業務を書き出して担当者を整理すると、特定の職員に集中している仕事を発見しやすくなります。
担当を分散できるもの、廃止できるもの、ICTに置き換えられるものに分類してみるのもおススメです。
対策③ICTで事務作業を効率化する
職員の負担軽減を考えるうえで、ICTの活用も選択肢の一つです。
例えば、入退室管理をデジタル化すれば、紙の出席簿への記入や後からの集計作業を減らせる可能性があります。スタッフの勤怠についても、出退勤時刻や勤務実績をシステムで管理することで、手作業による集計や転記を減らすことが可能です。
保護者への連絡や児童情報なども一元管理できれば、「複数の書類から情報を探す」といった作業の削減につながります。
「長く働ける学童」をつくることが安定運営につながる
学童保育の職員が退職する理由は一つではありません。給与や勤務条件だけでなく、人間関係、保護者対応、事務作業、業務量など、複数の要因が重なっている場合もあるでしょう。
だからこそ、「人が足りないから採用する」だけで終わらせず、現在働いている職員がどこに負担を感じているのかを知ることが第一歩。
業務分担や相談体制を見直し、必要に応じてICTも活用しながら、職員が子どもたちと向き合う時間を確保する…そうした小さな業務改善の積み重ねが、職員の働きやすさだけでなく、子どもや保護者にとっても安心できる学童保育の運営につながっていくのではないでしょうか。