タブレット時代の子どもの視力を守るため家庭と学校でできること
学校でも家庭でも、タブレットやスマートフォンなどの画面を見ることが当たり前になりました。
一方、子どもの裸眼視力の低下が続いています。
デジタル機器と付き合いながら、子ども自身が目を守るためにできることを考えます。
(※2026年4月7日の朝日新聞の記事を参考にしています)
学校で始まる「自分の目を守る」学び
2月、横浜市立東山田小学校で、大手メガネチェーン「Zoff」による目の健康についての出張授業が行われました。
児童約120人が、タブレット端末を見るときの正しい姿勢や、目の周辺の筋肉をほぐす「アイケア体操」などを学びました。
5年生の臼井遥真さんは、4年生の頃から黒板の文字が見えづらくなったといいます。
タブレットに集中すると、無意識に顔を画面へ近づけてしまうこともあり、授業を通して正しい姿勢を意識したいと話しました。
Zoffは2023年から小中学校などで出張授業を実施しており、2024年度は44校、2025年度には141校で行いました。
学校からは、視力が低い子どもが増えていることや、スマートフォンやゲーム機を見る時間が長くなっていることへの不安も聞かれるそうです。
大人が「画面に近づきすぎないで」と注意するだけでは、子ども自身はその理由まで理解しにくいかもしれません。
なぜ目を大切にする必要があるのかを子ども自身が学び、自分で行動を変えていく機会をつくることには意味があると感じます。
小学生の3人に1人以上が裸眼視力1.0未満
文部科学省が2月に公表した2025年度の調査では、裸眼視力が1.0未満の子どもは、小学校で36.07%でした。
中学校では59.35%、高校では71.51%に上ります。
いずれも10年前と比較すると5.1~7.7ポイント高くなっており、文部科学省は近くを見る作業時間が増えたことを一因として考えています。
東山田小学校で5年生を担任していた山口大貴教諭も、高学年になるにつれて視力が下がる子どもが多いことを気にしています。
席替えでは、黒板が見やすい前方の席を希望する子どもも多いそうです。
学校では、政府が2019年に打ち出した「GIGAスクール構想」により、子ども1人につき1台の端末を使用する環境が広がりました。
山口教諭の授業でも、タブレットは授業だけでなく資料の配布や宿題の提出にも使われています。
今や学習に欠かせない道具だからこそ、「使わせない」という方法だけでは解決できない問題だと思います。
便利さを生かしながら目の健康も守るという、これまでとは違った習慣を子どもの頃から身につける必要がありそうです。
低年齢での近視に注意したい理由
東京都立広尾病院の五十嵐多恵眼科医長は、一部で微減した年代はあるものの、子どもの裸眼視力が低下する状況は続いているとしています。
特に注意したいのが、低年齢での近視です。
幼い時期に近視を発症すると進行が早まり、将来、視覚障害になるリスクが高まるといいます。
近視を防ぐためには、「2時間以上の屋外活動」「手元の画面から30センチ以上離れる」「30分に1回は遠くを見る」ことなどが有効とされています。
数字で具体的な目安が示されていると、家庭でも取り入れやすいのではないでしょうか。
例えば子どもがタブレットに夢中になっていると、途中でやめさせることに抵抗を感じる場合もあります。
しかし、目を休ませることまで含めて端末の使い方を教えることも、これからの子育てでは必要になってくるのだと思います。
現在の小学生は、外遊びが制限され、タブレット端末が急速に普及したコロナ禍に乳幼児期を過ごしました。
五十嵐さんは、近視のリスクが特に高い環境で育った世代だと指摘しています。
これまで近視は小学校高学年での発症が多かったものの、最近では6、7歳ほどで発症する子どもが増えた印象もあるといいます。
小学校に入ったばかりだから視力についてはまだ心配ない、と考えないほうがよさそうです。
小さな変化に気づくことが早期受診につながる
子どもの近視については、治療の選択肢にも変化があります。
近視の進行を抑える効果がある点眼薬が6月から保険診療と合わせて使用できるようになります。
また、子どもの近視の進行を抑える効果があるとされる新しいコンタクトレンズも登場しています。
五十嵐さんは、近視の初期やその前段階で治療を始めることで、今後、子どもの視力低下を抑えられる可能性に期待しています。
そのためにも大切なのが、周囲の大人が子どもの変化に気づくことです。
目を細めながら遠くを見ている、黒板を見るために前の席を希望するなどの様子があれば、早めの受診が呼びかけられています。
子ども自身は、徐々に見えづらくなっていても、それが普通だと思っている可能性もあるのではないでしょうか。
家庭だけでなく、学校や学童など日常的に子どもと接する大人が変化に気づければ、早期の対応につながるかもしれません。
デジタル機器が生活から切り離せなくなった今だからこそ、禁止するのではなく、正しい使い方を子どもと一緒に考えることが大切です。
目はこれから長く使い続けるものだからこそ、幼い頃から「自分の目は自分でも守る」という意識を育てていきたいと感じます。