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小1の通知表をなくした岐阜県美濃市、「記号」ではなく「成長」を伝える学校へ

学期末の当たり前だった通知表を、岐阜県美濃市の市立小学校が1年生から廃止しました。
評価をなくすのではなく、懇談や文章を通して一人ひとりの成長を具体的に伝える取り組みです。
(※2026年3月22日の朝日新聞の記事を参考にしています)

記号の数では伝わらない子どもの頑張り

岐阜県美濃市では、2025年度から市立小学校5校すべてで1年生の通知表を廃止しました。
これまでは各教科の項目ごとに「◎」「○」「△」の3段階で評価し、学期末に子どもへ渡していました。
しかし、記号が示す意味が十分に理解されないまま、保護者が数だけを見て叱ったり、きょうだいなどと比べたりすることへの懸念がありました。
保護者の立場から考えても、記号が並んだ紙を見ると、つい良い評価と低い評価の数に目が向いてしまう気持ちは理解できます。
その一方で、子どもがどの場面で努力し、どのように成長したのかは、三つの記号だけでは見えにくいとも感じます。
通知表の廃止案が出たのは2024年で、市教育委員らの会議において、低学年の通知表をなくしてはどうかという意見が示されました。
市教育委員会が校長会へ伝え、各校で話し合った結果、5校すべての校長が1年生の通知表を廃止することを決めました。

評価をやめず、伝え方を丁寧に変える

通知表をなくしたからといって、子どもの学習状況を確認しなくなったわけではありません。
文部科学省は、児童一人ひとりの学習記録である「指導要録」の作成と保管を学校に義務づけています。
一方、家庭へ渡す通知表には法令上の定めがなく、その扱いは各学校に委ねられています。
美濃市立藍見小学校の山口充代校長も、評価そのものではなく、保護者や子どもへの伝え方が変わったと説明しています。
通知表に代わる機会の一つが、毎年7月と12月に行う保護者と担任の個人懇談です。
懇談では、学習の様子や頑張ったこと、これからの課題を以前より詳しく説明し、保護者からの質問にも答えます。
記号を確認するだけでなく、担任から具体的な場面を聞けるほうが、家庭でどのように励ませばよいか考えやすいのではないでしょうか。
ただし、懇談を中心にするのであれば、どの家庭にも分かりやすく情報が伝わることが大切だと思います。
もう一つは、学年末に児童へ渡す「修了証」です。
1年間を通した成長を文章でまとめたもので、以前は3学期の通知表の裏面に記載していた内容を、廃止後も残しています。

一人ひとりの良さを見つける学期末へ

藍見小学校では、2025年12月26日の2学期終業式後、1年生の担任である加藤黎教諭が、24人の児童へ手作りの賞状を渡しました。
賞状には「二学きがんばったで賞」と書かれ、運動会の練習、プールで泳ぐこと、速く走ることなど、それぞれが努力した内容が記されていました。
一人が賞状を受け取るたびに、同級生から拍手が送られたといいます。
これは加藤教諭が独自に行っている取り組みで、1年生の頑張りを目に見える形で認めたいという思いから始めたものです。
同じ学級にいても、得意なことや努力したことは子どもによって異なります。
全員を同じ基準で並べず、それぞれの変化を言葉にして渡す方法には、子どもの自信につながる温かさを感じます。
加藤教諭は、記号による評価がなくなったことで、子どもの言葉や日々の様子を以前より見逃さないよう意識するようになったと話しています。
通知表の廃止前後で業務時間に大きな変化はないとのことですが、成長を文章で伝えるには、普段から丁寧に子どもを見る姿勢が欠かせません。
山口校長は、認められ、褒められる経験を通して、子どもたちが自分の良さに気づいてほしいと願っています。
実際に子どもたちは、縄跳びや算数、掃除など、褒められたことや頑張ったことを自分の言葉で挙げています。
自分が何を頑張ったのかを振り返れることは、評価を受け取るだけでなく、自ら成長に気づく機会にもなりそうです。

広がり始めた通知表の見直し

通知表をなくすと聞けば、学習の遅れや苦手分野が分からなくなるのではないかと不安になる保護者もいるでしょう。
美濃市でも、開始前には「おもしろい」という肯定的な意見の一方で、「不安」という声がありました。
ただし反対意見はなく、市教育委員会は取り組みの狙いについて理解を得られたと受け止めています。
廃止後も否定的な声は届いておらず、5校では2026年度から2年生の通知表も廃止する予定です。
全国では、静岡県掛川市教育委員会が2026年度から市立小学校21校すべてで1年生から3年生までの通知表を廃止し、2027年度からは4年生も対象にすると決めています。
文部科学省によると、通知表をなくす以外にも、配布回数を減らす学校があります。
通知表は長く続いてきた仕組みだけに、廃止と聞いて戸惑うのは自然なことです。
大切なのは、記号の有無ではなく、子どもの学習状況や課題を家庭へ確実に伝え、成長を支える仕組みを保つことだと思います。
美濃市の取り組みは、子ども自身が努力や良さに気づける評価とは何かを考えるきっかけになりそうです。

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