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不登校児35万人。子ども達に寄り添う「校内SSR」の重要性

学校を年間30日以上休み、不登校とみなされた小中学生は、2024年度に35万3970人にのぼり、これまでで最も多い人数となりました。
前年度と比べて7488人増えており、不登校の増加はこれで12年連続です。この調査結果は、文部科学省が10月29日に公表しました。
(※2025年10月30日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

不登校の増加傾向に変化か。広がる学びの支援

前年度と比べた不登校の増加率は2.2%となり、23年度の15.9%から大きく下がりました。
文部科学省は、これまで進めてきた取り組みの効果が少しずつ表れている可能性があると見ています。
調査の対象は国公私立の小中高校などです。
不登校となった児童生徒の内訳を見ると、小学生は13万7704人で前年度より7334人増えました。
一方、中学生は21万6266人で、前年度からの増加は154人にとどまりました。
小中学生全体に占める割合は3.9%で、前年度より0.2ポイント上昇しています。
増加の背景の一つとして、同省は社会全体の意識の変化を挙げています。
不登校の子どもに休養が必要な場合があることを示した教育機会確保法が16年に成立しました。
ただし、学校側の対応が十分でなかったために、結果として登校が難しくなったケースも依然として少なくないと考えられています。
対策として、校内教育支援センターの設置など、学校以外も含めた多様な学習の場を整える取り組みが進められてきました。
また、校外での学習成果を成績に反映する方針も昨年より明確になっています。
今回の調査では、校外での学びの成果が正式な記録である「指導要録」に反映された小中学生は8万1467人でした。
そのほか、いじめの認知件数は小中高校と特別支援学校を合わせて76万9022件にのぼり、前年度より3万6454件増えました。
心身に深刻な被害が出た場合などにあたる「重大事態」は1405件で、前年度より99件増えています。
暴力行為も小中高校で計12万8859件確認され、前年度から1万9872件増加しました。これらはいずれも過去最多となっています。

校内に広がる新たな居場所「SSR」が担う支援のかたち

子ども一人ひとりの状況に寄り添う取り組みとして、文部科学省が成果を感じ始めているのが、校内教育支援センター、いわゆるSSRです。
名称は「スペシャルサポートルーム」や「スモールステップルーム」などさまざまですが、教室に入りづらいときや気持ちを落ち着けたいときに利用できる場所として設けられています。
ここで過ごした時間は出席扱いになるため、不登校の増加率が緩やかになっている一因とも考えられています。
福岡市では夜間中学を除く全ての市立中学校70校にSSRを設置しています。
さらに、市独自の取り組みとして、教科指導を担当しない「教育相談コーディネーター」を各校に配置しています。
市立東光中学校のSSR「てんとうむし」は、黄緑色の壁紙とカーペットが敷かれた家庭的な空間です。
ここでオンライン授業を受けたり、教科によっては教室に参加したりもできます。
担当の城島瑛教諭(41)は、「学校に安心できる部屋があるだけで、登校しようという気持ちが生まれます」と話します。
横浜市でも昨年9月から全市立中学校146校にSSRが設けられました。
市立鴨居中学校の「和みルーム」では、毎朝オンラインでの学級活動を行い、教室に来られない生徒ともつながりを保っています。
学習面の支援に加え、野菜作りやフリースクールとの交流など、多様な活動も取り入れています。
SSRを通じて家庭との連携も進み、長島和広校長(55)は「子どもが抱える困りごとに気づきやすくなりました」と語ります。
SSRの効果については、昨年度末に同省が自治体へ行った調査で、利用した小中学生の約7割に何らかの改善が見られたという回答がありました。
ただし、学校の規模や事情によって必要性は異なるため、全校への一律設置は掲げていません。
その代わり、必要な学校に対して支援員の配置費を補助し、学習や相談体制の充実を後押ししています。
一方で、課題もあります。
関東地方のある公立中学校では、SSRが十分に活用されていない状況があります。
教員の一人は「校長が『教室に戻るために教科書を読もう』と生徒に話しているため、生徒が足を運びにくくなっています。
本来はそうした目的の場所ではないのですが」と打ち明けます。
東京都内に住む40代女性の子どもが通っていた小学校では、SSRが閉鎖されました。
利用する子ども同士のトラブルが相次ぎ、支援員がうまく対応できなかったためです。
女性は
「不登校の理由や背景はそれぞれ違います。さまざまな子が同じ部屋で過ごすことが、必ずしも良い結果につながるとは限りません」と話します。また、SSRへの通室をやめた茨城県の中学3年生は「自習が中心で、あまり意味を感じられませんでした」
と振り返ります。
SSRは自宅から通いやすく、家庭の経済的な負担が少ない点が大きな利点です。
ただし、文部科学省は設置の細かな基準までは示していません。
自治体や学校ごとの事情に合わせて柔軟に整備できるようにするためだとしています。

多様な学びを支える新しい取り組み

各地では、子どもに合った学習環境を整えるための独自の工夫も進んでいます。
東京都では「チャレンジクラス」と呼ばれる取り組みを14校で試験的に実施しています。
通常の学級に入りにくい生徒を対象に、個別のカリキュラムで授業を行い、専任の教員も配置しています。
実践校の一つである豊島区立西池袋中学校の八尋崇校長は、
「SSRがあることで家から出られる生徒もいれば、少人数のチャレンジクラスだからこそ安心して通える生徒もいます」
と話しています。
不登校問題に詳しい水野治久・大阪教育大学副学長は、
「学校生活の中心は授業であり、学習につなげることが何より重要です」
と指摘します。そのうえで、
「従来の学級に戻すことを最終目標にするのではなく、一人ひとりに合った学び方へ導く視点が、これからの学校には欠かせません」
と述べています。

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