お電話での問い合わせ

050-3315-0377

小学生の暴力行為、一昨年度は7万件に。子どもの心の内を代弁する

昨年の秋、文部科学省が実施した2023年度の調査によると、小学校における児童の暴力行為が約70,000件にのぼったことが明らかになりました。
この報道を受けて、教育関係者のみならず一般の方々からもさまざまな声が寄せられました。
実際の学校現場への取材を通じて、その背景にある要因について考察を深めました。
(※2025年4月7日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

増える暴力行為と変化する学校側のコミュニケーション

関西にある公立小学校の校長(53)は、ここ10年ほどで児童による暴力行為を見聞きする機会が明らかに増えたと感じているそうです。
たとえば、最近では4年生の男児が怒りから教室の窓ガラスを割ったり、別の児童がガラス戸を壊すという出来事もありました。
他校でも、児童がカッターを振り回すような話を耳にすることがあるとのことです。
校長は、「感情をうまく言葉にできない傾向があるのではないか」と指摘しています。
最近の授業では、児童同士の対話の場面で「どう話していいのか分からない」と戸惑う様子が見られます。
多くの児童がタブレット端末を使って授業を受けており、画面を見ながら意見を入力するスタイルが一般的になっています。
教員もまた、画面を見る時間が増えた結果、児童同士の会話や教員との関わりが減少しているように感じられると話しています。

暴力の陰にある子どもの心に寄り添うためには

改善への道筋は見えてきています。
教室の窓ガラスを割った男児に対し、教員たちは半年以上にわたり、その子の感情を代弁するような声かけを根気強く続けた結果、暴力的な行動は見られなくなりました。
「子どもの攻撃的な言動の背後には、言葉にしきれない思いがあるはずです。
その気持ちに耳を傾け、代弁することで、安心感を与えることができるのです。
子どもが言葉で表現できる力を育てるとともに、大人もその心情を理解する努力を重ねるべきです」と語られています。
東京都内の公立小学校に勤務する校長(52)もまた、「暴力的な行動をとる子どもが急激に増えたという印象はない」としつつも、「対応に苦慮するケースは増えている」と話します。
自制心が育ちきっていない子どもには、ある程度厳しい対応が必要と考えながらも、「厳しすぎる対応が、登校できなくなる要因になるかもしれない。そのバランスが非常に難しい」と苦悩を語っています。

信頼が変化を生む。理想は子どもに寄り添う教育現場

最近では、教職員同士が児童について話し合う時間が少なくなってきていると感じられます。
「意見を交わすことで、その子の特性を理解し、適切な対応や声かけが可能になります。子どもは、自分に関心を持たない教員の言葉には耳を傾けないのです」と語られています。
かつて、暴れがちな男児に根気強く寄り添い続けた結果、次第に落ち着きを取り戻した例がありました。
この経験から、「子どもとの信頼関係が築けなければ、暴力的な行動はなかなか減らない」との実感が語られています。

 

学童保育の現場から見える課題、言葉にできない思いをどうするか

「暴力行為はごく限られた例ではありますが、確かに存在しています」。
関西地方の学童保育施設で勤務する男性施設長(66)から、そういった報告が寄せられました。
その施設では、約200人の子どもたちが放課後の時間を過ごしています。
施設長は、感情をうまく言葉に表現できる子と、そうでない子の間に大きな差があると感じているそうです。
言葉にできないもどかしさが、時に暴力として現れるのではないかと考えています。
「すべての子どもが、同じように言葉を学び、使えるように学校側がしっかりと支援できているでしょうか。この問題には、学校だけでなく、社会全体で取り組む必要があります」と、施設長は訴えています。

心の声を受け止める場所が必要。学童で見えた子どもの思い

東京都内の学童保育施設で働く女性(66)からも、心に残る子どもの姿についてのメッセージが届きました。
ある児童は、やや乱暴な行動が見られる子でしたが、ある日、女性に対して突然母親のことを語り始めたそうです。
施設では個人情報保護の観点から、家庭の詳細について職員が知ることはできませんが、「あの子は、誰かに自分の気持ちを聞いてほしかったのだと思います」と語っています。
女性はまた、「子どもたちが安心して本音を話せる場があまりにも少ない」と感じているといいます。
教員も保護者も日々の忙しさに追われ、子どもたちの心の内にしっかり向き合う時間が持てていないのではないかという思いがあるそうです。
「暴力の背景には、大人とのコミュニケーションの不足があるのかもしれません。大人が時間をかけて、子どもの本音に耳を傾ける姿勢が大切だと感じています」と、女性は語ってくれました。

 

丁寧な関わりが子どもを救う。保育現場からの声は

「子どもたちが、十分に時間をかけて関わってもらえていないことが、問題の一因ではないでしょうか」。
このように語ってくれたのは、大阪府で幼稚園の預かり保育を担当している女性保育士(49)です。
彼女の勤務する現場では、30人の子どもを3人の職員で見守っています。
その中には、わずかなきっかけで感情を爆発させてしまう子どももおり、日々の保育にストレスを抱えている様子が見受けられるといいます。
「もっと丁寧に子ども一人ひとりに向き合える体制が必要です。気持ちを上手に表現できない子どもに、社会の在り方が寄り添っていくべきだと思います」と語っています。
また、東京都内の保育園で働く男性保育士(46)からも、「最近では、暴力的な行動の兆候が園内で頻繁に見られるようになってきた」との報告が寄せられています。

 

言葉と心の育ちを支えるには。保育現場からのまなざし

園児たちの語彙力の不足や、発達の未熟さが目立つようになってきたと語るのは、現場で保育に携わる職員の声です。
ぐずっている子どもにスマートフォンで動画を見せる親の姿を見て、「子どもが自分の気持ちを言葉で表現する経験が減っているように感じます」と話しています。
年齢に応じた成長が十分に見られないと感じる場面も増えてきたそうです。
園としては、子どもたちが適切に成長できるように支援したいと考えているものの、人手不足が大きな課題となっています。
「長時間保育や現在の保育園の運営体制が、本当に子どもたちのためになっているのか、大人側の都合が優先されていないかを問い直す必要があります」と語っています。
さらに、横浜市で保育園を運営する女性園長(55)は、「感情のコントロールが難しい子どもたちがいる背景には、乳幼児期に『自分は大切にされている存在だ』という自己肯定感を育めなかったことがあるのではないでしょうか」と綴っています。

育てるべきは「自分を知る力」か。連携で広がる支援の輪

「自我が十分に育たないまま成長してしまう子どもがいるのです」。
そう語るのは、ある保育の現場で子どもたちを見守ってきた女性保育士です。
彼女は、他人の顔色をうかがいながら自分の思いを口にできず、「おかわりが欲しい」とすら言えなかった4歳児の姿を記憶しています。
「自分の気持ちを理解できなければ、それを伝えることもできません。
そして、それが暴力という形で現れてしまうこともあるのです」と話します。
また、幼稚園や保育園と小学校との密接な連携の必要性も強調しています。
「保育園には、その子について蓄積された多くの情報があります。子どもに関わる専門性のある大人同士がしっかりと連携し、共に向き合うことで、子どもへの理解はもっと深まるはずです。小学校の先生方とも、もっと意見を交わしたいと感じています」との思いを語ってくれました。

今すぐ電話相談

050-3315-0377

お問い合わせ

資料請求