学童保育所を舞台にした書籍「あえてよかった」
学童保育所を舞台にした小説「あえてよかった」をご存知でしょうか。
学校と家庭の中間にある学童保育所を舞台に奔走する学童支援員である主人公を中心に、大人の目線から今の子どもたちを描いた深いメッセージ性のある心温まるストーリーです。
今、学童保育所で働く方に刺さる物語を読んでみてはいかがでしょうか。
目次
ベストセラー作家「村上しいこ」氏の作品
村上しいこ氏は、児童文学におけるベストセラー作家として知られています。彼女ならではの描写は、子どもたちの本音や気持ちを真摯に捉え、読者の心に直接響いてきます。
彼女の作品は、時には大笑いさせてくれる一方で、共感を呼び起こしたり、思わず涙ぐませたりする力があるのです。
この作品『あえてよかった』でも、子育てに携わる大人たちに対して重要なメッセージを届けています。子どもたちに寄り添い、育てているつもりが、実は一緒にいる大人自身が成長し、育まれていることを描いています。子育ての中で、子どもたちとの関わりや経験を通じて大人たちの心が豊かになっていく様子は、学童保育所で働く側から、保護者側からの視点でも感銘を受けるのではないでしょうか。
特に子育てを経験した方、現在子育てに取り組んでいる方、教育関係者など、子どもたちを見守る大人たちにとって、この作品は心に残る物語となることでしょう。主人公・大地の成長や子どもたちとの交流を通じて、大人たちが子どもたちから学ぶことの大切さを再確認させられるでしょう。
そして、主人公の「おっさん」大地の「昭和男っぷり」にも注目が集まります。
彼の個性的なキャラクターや独自の考え方は、読者に笑いと感動を与えることでしょう。
彼の姿勢や行動に共感する学童保育スタッフも多いのではないでしょうか。
村上しいこ氏の作品は、子どもたちの純真な姿や心の声を丁寧に描きながら、大人たちにも深い感銘を与える力があります。
その独特な視点や描写が、読者の心に鮮やかな印象を刻み込み、多くの人々に心温まる体験を届けていることは間違いありません。
『あえてよかった』は、子育てや人間関係に思いを馳せ、成長と自己受容の大切さを再認識する機会を与えてくれる素晴らしい作品と言えます。
もうすぐ夏休みが終わる子どもたちを前にして
夏休みも終わりに近づき、子どもたちが学童保育所を朝から訪れ、夜までいることに疲れをみせる時期。
日々子どもたちが健やかに育ち、怠惰な時間をすごさず、学習を進められることができるように学童保育所のスタッフは心を砕いて、企画を考え、準備をしています。
この時期になると宿題も終わってしまい、学習の時間に集中力を欠いてしまう子もいます。
気温は体温のような真夏日や猛暑日ばかりで熱中症アラートも発令され、日中外で遊べなくなり室内でのいざこざも増えます。
長い休みが終わることで不登校の子が増えることから、さまざまな形での支援が学童保育スタッフに求められるようになるでしょう。
そんなときにでもかまいません、この本を手にとってみてはいかがでしょうか。
「あえてよかった」の内容
物語は主人公の「小野大地」を中心に展開されます。
彼は妻の「美月」との突然の別れによって深い悲しみに苦しんでおり、自分の人生に対する方向性を見失っています。
美月の遺志を継ぎ、夢だった子どもの未来を支援するために「放課後学童指導員」として働くことを決意します。
渋々働きはじめ、ある程度のところで妻の後を追うつもりでした。
彼の新たな職場は、学童保育所「キッズクラブ・ただいま」。
そこで大地は子どもたちとの触れ合いを通じて成長し、自己受容と友情の大切さを学んでいくのです。
大地が新たな職場で出会う仲間たちも、個性豊かで心温まるキャラクターばかりです。
笑わない施設長の「唐木朋子」は心に屈託を抱えつつも、仕事に対して厳格な姿勢を持つ人物。
そして、同僚の1年生の女児に人気がある「田名瀬葉子」、児童相談所の心理士だった「矢沢真理」、女子たちのお姉さん的存在「星野海」との共同作業を通じて、大地は子どもたちのリアルな悩みや心情に向き合い、トラブルに対処しながら、次第に成長していきます。
物語が舞台としている学童保育所の環境は、子どもたちの成長と感情表現をリアルに描写しています。
子どもたちが抱える悩みや心の動きは、現実の子どもたちの姿と重なり、読者の心に強く響くでしょう。
学童保育所という架け橋の役割を果たす場所が、子どもたちの個性や成長に対する大きな影響を持っていることを実感させられます。
また、主人公・大地が子どもたちと向き合い、親たちからの要望にも振り回されながらも、彼らの役に立とうとする姿勢は、勇気と感動を与えてくれるでしょう。
自己受容や他者とのつながりの大切さを学ぶ過程において、大地の心の成長が描かれることは、この物語の魅力の一つと言えます。
いかがでしょうか。
『あえてよかった』は、子どもも大人も直面する悩みや葛藤を丁寧に描きながら、希望や成長の光を示してくれる作品です。
村上しいこ氏の描写力や人間の心の複雑さを表現する力には、感嘆せざるを得ません。
学童保育スタッフとしての働き方に悩んだとき、行き詰まりを感じたとき、ちょっと気になると思ったときなど、その読んだときの心持ちによって読後感が変わってくることもあるでしょう。ぜひ手にとって見てください。
