学童向けICTシステムを導入する際の選び方と注意点

共働き世帯が増え、今や学童保育所はなくてはならない保育施設になっています。
子どもたちの居場所を整え、ICT化や多様化が進む状況に合わせて学童保育施設も多様化しています。
増える施設、増える子どもたちの数に対応するために、業務の効率化が図れるICTシステムの導入が急がれる状況です。
学童保育所が抱える問題を解決するべく導入されるICTシステムですが、選び方やおさえるべき注意点があります。
なんのために導入を考えたのかを抑えて考えていきましょう。
目次
学童保育が抱える問題
学童保育所が抱える社会的に大きな問題として挙げられるのが「待機児童問題」。
その他にも運営をしていく上でさまざまな課題があります。
預かる児童の多さによる業務過多
上記の通り待機児童が大きな問題となっています。
解消するための措置として、利用定員を41人以上に設定している学童保育所は約40%と大規模です。
場合によっては71人以上を定員として運営している施設もあります。
人数が多ければ多いほど学童保育の支援員や指導員の管理負担が大きくなることは火を見るより明らかです。
入退室の確認はもちろんのこと、入室後の安全管理や遊び、学習の時間やおやつなど一つひとつのことが負担になり、子どもたちや保護者に寄り添う時間に制限がかかるなどの影響があるでしょう。
保護者のライフスタイルと合わない
学童保育所の約6割が途中で延長保育という形になる場合があっても、18時半以降まで預かることが可能です。
そのほかの施設は18時半以前に閉所してしまいます。
未就学児のころは職場の近くや自宅の近くに保育園があり、18時、もしくは延長保育になっても間に合う時間に迎えに行けていたフルタイムで働く保護者も、学校のそばや学校の敷地内にある学童保育所に18時半までに迎えにいくことが困難になる場合も。
また、働いている状態で学童保育所に緊急連絡をしたり、連絡を受けたりという状況が難しい状況にあります。
開所時間内に電話をするのはなかなか難しいのです。
学童保育の開所時間とライフスタイルがずれてしまい、勤続が難しいと感じる保護者もいるでしょう。
支援員、指導員の業務負担と人手不足
2015年に資格が設けられた「放課後児童支援員」。
子どもたちの協同性や主体性を育む支援を行い、働く保護者や地域との連携を担います。
しかしそういった専門性を有する仕事でありながら、有資格者は全体の6割にも満たない状態です。
子どもたちや保護者に寄り添い支えるためには支援員自身の余裕も必要ですが、上記の通りたくさんの児童に囲まれ、業務負担は大きく、土曜や長期休暇には長時間をシフト制で回している状態で目が行き届かないところがでてきます。
その上で子どもたちが楽しく学童保育所内ですごせるように、工作や遊びのプログラムなどを日々考えるという、本来子どもたちや地域の方と楽しく進めるべき業務も負担になってきてしまうのです。
支援員や保護者の負担を軽くするためのICTシステム
上記のようなさまざまな学童保育が抱える問題を解決するためにICTシステムを導入する必要があります。
入退室機能や児童情報、保護者情報をまとめたデータ、延長料金の児童集計、キャッシュレス決済、保護者との緊急連絡をシステム上でとれるなど、児童が多いことによる負担を軽くするための機能がICTシステムには揃っているためです。
業務負担が軽くなることで、職員の離職を防ぐことができますし、これまで慢性的になっていた残業などにかかるコストも削減できます。
しかし、そのICTシステム自体が多様化しており、さまざまな企業が開発を進め日々進化しています。
たくさんのシステムの中から一番ご自身の施設に合っているシステムを選んで導入しましょう。
学童施設に導入するシステムを選ぶには
良いことばかりのように見えるICTシステムですが、本当に必要な機能が搭載されており、学童保育所の職員が使いこなせなければコストと時間がかかるだけのシステムになってしまいます。しっかりとポイントを抑えて選びましょう。
問題解消できる機能を備えているか
ICTシステムを導入しようと思ったきっかけ、目的を見誤らずにシステムを選びましょう。
オプションでさまざまな機能が搭載されているシステムもありますが、いつも本当に使う機能は限られているものです。
問題を解消するために必要な機能だけを搭載したシステムを導入するようにしましょう。
今困っていることはなんでしょうか。運営側と一緒に現場の職員とも話し合い、確認が必要です。
オプションで付けてみたけれどあまり必要ではなかったという場合、そのオプションを削ることでさらなるコスト削減にもつながります。
スマートフォンやパソコン、タブレット端末にカードリーダーなど、互換性のあるIT機器をまずは購入しなければいけないので、削れるものは削りましょう。
ICTシステム導入のための補助金を出している自治体もあるので要チェックです。国も年々さまざまな助成を行っているのでコスト面は抑えられるでしょう。
導入後に困ったときにサポートしてもらえるか
ICTシステムが使いやすくなければ学童保育所内ではもちろん、保護者にも浸透しません。
浸透しなければお知らせを見てもらうこともありませんし、システム上でやりとりができるのにいつまでも電話や書類でのやりとりが続くなどすることもあるでしょう。
それではせっかくのICTシステムを活かすことができません。
ICTシステムの中には感覚で使えるものもありますし、保護者には気軽に使えるスマホのアプリが充実しているというのも選定の大きなポイントとなるでしょう。
また、セキュリティ対策が万全であることも大切です。
セキュリティがしっかりしていないと保護者がなかなか手をつけてくれません。
データ通信の暗号化やアクセス権限など、十分なセキュリティ対策が備わっていることで保護者が安心して使えるのです。
そういった保護者への説明や学童保育所のスタッフの困りごとにしっかりとサポートをしてくれるかどうかもICTシステムを選ぶポイントになるでしょう。
施設向けのカンタンな利用マニュアルが用意してあったり、研修のような形で説明会が行われると安心です。
ぜひ参考にして、ご自身の学童保育所に合ったICTのシステムを導入されてください。
また、年度末に現状を見直し、変更を検討されるのもオススメです。