東京都江戸川区にある学童保育で働くスタッフの声が東京新聞の「ニュースあなた発」に届きました。それを受けた朝刊1面の記事が大きな反響を読んでいます。
教員や看護師から同様の経験談が寄せられ、労働環境の改善が求められています。
こちらでは職員から届けられた声と、露呈した問題についてご紹介しましょう。

新聞に届けられた声と反響

東京都江戸川区にある学童保育（放課後児童クラブ）で働く職員からの声が、公になりました。それを受けて、2023年7月31日の新聞記事（1面）がこの問題に焦点を当て、多くの反響を呼び起こしました。

記事の中で、この問題の実態が詳細に説明され、他の学童保育所職員だけでなく、学校の教員や看護師など他の職種からも同様の体験談が寄せられていることが示されています。

また、この問題に対する要望として、「職員の善意だけに頼らないでほしい」との声も挙がりました。

労働問題に詳しい弁護士は、「使用者は現場の声を聞くべきだ」と主張しています。

寄せられた声

実際に紙面へ寄せられた声をご紹介します。（※東京新聞より）

学童職員（男性・栃木県）
勤務開始20分前に出勤して清掃、書類準備など

元保育所パート（女性・東京都）
5分前出勤では「遅い」と言われた

元保育所パート（女性・神奈川県）
業務リストが示され、勤務開始1時間前に出勤。勤務に応じた賃金が支払われる体制望む

教員（男性・東京都）
勤務開始1時間前に出勤して授業準備。早く出勤しなければ、適切に教育活動できない

元公務員（女性・東京都）
サービス出勤に疑問抱いた同僚と、上司に掛け合い勤務時間と認めさせた

看護師（男性・東京都）
勤務開始の60〜30分前には出勤し、入院患者の情報収集が欠かせない

学童職員（女性・九州/沖縄）
朝8時の開所前から子どもが来るため、早く出勤せざるを得ない

教員（女性・東京都）
勤務開始は8時15分だが、子どもは8時ごろには投稿してくる

学童保育の実態と問題の露呈

学童保育の現場で働く職員たちの声が広まり、多くの人々に影響を与えました。
実際に、保育や教育分野で働く人々からも同様の経験談が寄せられ、問題の深刻さが浮き彫りにされました。
記事の中で、「デパートなら客の入店と勤務開始が同じなんてあり得ない」とありましたが、まさに言い得て妙です。
学童保育の職員の声が届いたことで、学童保育の労働環境に関する議論が広がり、今後の改善、いわゆる働き方改革につながるきっかけとなるでしょう。

ICTシステムを活用した問題解決

労働環境問題に取り組む一環として、ICT（情報通信技術）システムが有効な手段として考えられています。
例えば、勤務開始前の朝のサービス出勤に関連する業務やタスクを効率的に管理するための専用のソフトウェアを導入することで、職員の負担を軽減し、労働時間の適切な計測が可能になるでしょう。
このシステムは、保育所や学童保育の職員が朝の準備を行う際に必要な作業やスケジュールを整理し、適切にタイムマネジメントをサポートします。

また、ICTシステムを活用することで、職員と保護者とのコミュニケーションもスムーズに行えるようになります。
例えば、保護者向けのモバイルアプリの利用を促し、子どもたちの登園・入室や出欠管理情報をリアルタイムで共有できるようにすることで、保護者の信頼感を高め、職員と保護者の間での情報共有が円滑に行えるようになるのです。

早朝のサービス出勤と労働時間の問題

しかしながら、この問題にはICTシステム導入だけでは完全な解決策とは言えません。
一部の職員は早朝に出勤し、保護者が子どもたちを預けに来る前に施設の清掃や書類整備などの朝の開所準備を行う必要があるという声を挙げています。
このような状況を訴える声は全国各地から類似のものが寄せられていることが確認されているのです。
こうしたことから今回、問題の深刻さが浮き彫りにされました。

協力と対話を通じた解決

冒頭の労働問題に詳しい弁護士はこの問題に関して、換気や清掃、引き継ぎなどは子どもたちを受け入れるために必要な業務であり、時間外賃金が支給されるべきだと指摘しています。
さらに、使用者と職員との協力が理想的な解決策であるとし、労使間での対話と合意形成が大切であるとアドバイスしていました。
また、労働組合を通じて団体交渉を行う方法も紹介され、職員たちが声を上げ、状況を改善する手段として示唆されています。

問題解決への一歩として

江戸川区の学童保育を巡る問題は、職員の働き方や労働条件に関する重要な議題として取り上げられ、今後の改善に向けての検討が進行中です。
寄せられた声が社会的な議論を呼び起こし、問題解決の一助となることに期待が寄せられています。
この問題の克服に向けて、ICTシステムを活用し、学童保育所などの職員、スタッフと保護者と児童、生徒間の協力が不可欠と言えるでしょう。
そこには保護者の働き方改革も加味する必要があり、今後のより良い学童保育環境の実現に向けてさまざまな角度から改善されることが望まれます。