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悩ましい高学年の長期休暇、高齢者施設での受け入れも

夏休みや冬休みの時期になると、小学生の居場所や昼食の確保が、共働き家庭にとって大きな課題となります。
特に、子どもが高学年になると、それまでとは異なる問題に直面する家庭も少なくありません。
こうした背景を踏まえ、独自の支援策を講じる自治体も現れ始めています。
(※2025年7月31日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

高学年の「居場所」に悩む共働き家庭の現実

東京都港区に住む40歳の女性が抱えている悩みは、小学5年生の長女(10歳)の平日の過ごし方です。
夫婦ともに仕事をしており、下の子である長男(6歳)は保育園に通っていますが、高学年の長女は学童保育に登録していません。
普段は放課後に習い事へ行ったり、友人と遊んだりしており、1人で過ごす時間はせいぜい1~2時間程度にとどまっています。
しかし、夏休みになると状況が一変します。
長男には保育園がありますが、長女は日中の大半を自宅で1人きりで過ごすことになってしまいます。
昨年の夏は、長女の保育園時代の友人の母親、いわゆる「ママ友」と協力しながらこの問題を乗り越えました。
朝になると、長女はバスでママ友の自宅へ向かい、夕方にはママ友が長男の通う保育園まで長女を連れてきてくれます。
そして女性が長男を迎えに行く際に、長女も一緒に連れて帰るという形でした。
反対に、ママ友が出勤する日は、女性が自宅でリモートワークをしながらママ友の子どもを預かるという協力体制を取っていたそうです。
女性は、「もし自分の仕事が出社必須であれば、このような対応は難しかったと思います。夏休みの間だけでも、子どもが安心して過ごせる場所があれば助かるのに」と話します。
小学生の放課後や長期休暇中の受け皿として学童保育がありますが、共働き世帯の増加により、利用希望者が多く、待機児童の問題が深刻化しています。
多くの自治体では低学年の児童が優先され、高学年の子どもはなかなか利用できない現状があります。

高学年になるほど学童利用が減少、しかし居場所に不安も

保育や教育関連のITサービスを手がける「千」(本社:東京都千代田区)は、今年6月に小学生の子どもを持つ保護者約320人を対象に「夏休みの過ごし方」に関するアンケートを行いました。
その結果、小学1年生の子どもの夏休み中の主な過ごし先として「公立の学童保育」を選んだ保護者は43.2%にのぼりました。
一方で、学年が上がるにつれてその割合は大きく減少し、5年生では9.1%、6年生ではわずか4.0%にとどまりました。
また、今年の夏に子どもを留守番させる予定がある保護者に対して、平日の平均的な留守番時間を尋ねたところ、「5時間以上」と回答した人が27.5%に達し、全体のおよそ4人に1人を占めていました。
さらに、夏休み期間中の子どもの日中の過ごし方において、最も大きな課題は何かという問いに対しては、「仕事と育児の両立」が最も多く18.8%を占め、「留守番中の安全確保」や「ゲームや動画視聴の時間が増えること」がそれに続きました。
これらの結果から、特に高学年の子どもを持つ家庭では、夏休み中の子どもの「居場所」や過ごし方について、さまざまな不安や課題を抱えていることが浮き彫りになっています。

高齢者施設で小学生を受け入れも-世代を超えた交流の場に

7月22日、浜松市内にある特別養護老人ホーム「第二長上苑」で、小学生7人がスイカ割りを楽しんでいました。
その様子をそばで優しく見守っていたのは、施設を利用している高齢者の方々です。
これは、夏休み期間中に介護施設が地域の子どもたちや職員の子どもを長時間受け入れる「かいごTERAKOYA事業」の一環として行われたものです。
この取り組みは浜松市が2022年度から開始し、今年度は市内7施設で実施されています。
施設の職員に加え、学生アルバイトも見守り役として参加し、子どもたちの宿題や学習支援などにも対応しています。
施設によっては昼食代の自己負担が必要な場合もありますが、基本的には無料で利用できます。
「第二長上苑」はこの事業に3年前から参加しており、今年の夏は52人の子どもが登録。
午前8時から午後5時30分までの間、1日あたり最大15人を受け入れています。
このような取り組みは、子どもの居場所づくりと高齢者との世代間交流の両立を実現する貴重な機会となっています。

高学年の居場所づくり。高まるニーズと自治体の工夫

小学4年生の男子児童(9歳)は、「いろんな学校の子と友だちになれて、すごく楽しいです」と笑顔を見せました。
施設長の鈴木喫さんは、「予想していた以上に地域の保護者からの預かり希望が多く、登録者数も年々増えています」と語ります。
夏休み期間中の子どもの居場所を確保する取り組みは、全国で徐々に広がりを見せています。
今年3月にこども家庭庁とみずほリサーチ&テクノロジーズが発表した調査によると、全国の約4割の市区町村が、夏休み中に子どもの居場所を提供する取り組みを行っていることが明らかになりました。
具体的には、大阪府河内長野市では2023年度から、市内の幼稚園や認定こども園で小学生の一時預かりを実施しています。
また、岡山市では市立の学童保育を活用し、夏休みなどの長期休暇中のみ利用できる「期間限定利用」の仕組みを導入しています。
この調査に携わった、みずほリサーチ&テクノロジーズの杉田裕子マネジャーは、「高学年の子どもや、短時間勤務の保護者を中心に、夏休みだけ学童保育を利用したいという声が増えています。今後は、自治体や関係機関が子どもたちにとって安心して過ごせる場所をどのように提供できるかが重要な課題となります」と話しています。

昼食どうする?夏休みの悩みに応える自治体の支援策

夏休み期間中、子どもの昼食をどのように用意すればよいか、頭を悩ませる家庭は少なくありません。
冷凍宅食サービスなどを展開する企業・イングリウッドが、小中学生を育てながら働く女性を対象に実施した調査では、回答者513人のうち、夏休みについて「やや憂うつ」「とても憂うつ」と感じている人が全体の49.3%にのぼりました。
その理由として最も多かったのは、「子どもの昼食を用意する回数が増えること」でした。
実際の昼食内容に関しては、「簡単な麺類やパンで済ませる」「あらかじめ作り置いたおかずを使う」「冷凍食品を活用する」などの回答が目立ち、いずれも3割を超える割合となっています。
こうした保護者の負担を軽減しようと、具体的な支援を始める自治体も出てきています。
横浜市では、昨年度から小学校の放課後児童クラブにおいて、夏休み中に1食400円で弁当を提供する取り組みをスタートさせました。
今年度からは対象を冬休みや春休みにまで拡大し、弁当のおかずの品数も増やしました。
さらに、東京都調布市も今年から夏休み期間中の学童クラブで、弁当の有料提供を開始しています。
また、愛知県半田市では、今月18日に行われた終業式の日、市内の小中学校18校で給食を提供するという取り組みが行われました。
このように、夏休み中の子どもの「食」の課題に向き合う自治体の動きが、少しずつ広がり始めています。

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