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学校トイレの洋式化から考える子どもの安心と学童保育の環境づくり

家庭では洋式トイレが身近になる一方、学校では今も和式トイレが多く残る地域があります。
子どもが毎日利用する場所だからこそ、使いやすさはもちろん、衛生面や心理面も気になります。
学校トイレの洋式化から、子どもが安心して過ごせる環境について考えます。(※2026年5月20日の朝日新聞の記事を参考にしています)

 子どもが洋式トイレに集中する学校も

佐賀県では、県立高校の普通教室棟にあるトイレの洋式化率がまだ5割程度にとどまっています。
山口祥義知事は、5基のうち4基が和式、1基だけが洋式という学校もあり、洋式トイレに利用者が集中している状況を明らかにしました。
洋式トイレ1基あたりの女子生徒数が100人を超える学校もあるそうです。
県立高校の施設の約4割が築40年以上で、建設された当時は和式が主流だったことも背景にあります。
佐賀県は2026年度から本格的な洋式化を進め、2028年度までに16校の普通教室棟を対象として工事を行う予定です。
完了すると洋式の割合は77%になる見込みです。
大人にとっては「和式も使えるから問題ない」と感じるかもしれませんが、家庭で和式をほとんど経験していない子どもにとっては事情が違います。
学校や学童保育など、長い時間を過ごす場所のトイレが安心して使えることは、想像以上に大切なのではないでしょうか。

 トイレを我慢させない環境を考えたい

文部科学省の2023年度調査では、全国の公立小中学校にある便器約132万6千基のうち、洋式は約90万5千基で、洋便器率は68.3%でした。
2016年度の43.3%、2020年度の57.0%からは増加していますが、まだ7割には届いていません。
「学校のトイレ研究会」は、和式トイレには衛生面の課題もあると指摘しています。
和式は洋式より尿が周囲へ飛び散りやすく、床の汚れやにおりの原因になりやすいとされています。
便器周辺の床を調べたデータでは、大腸菌が洋式の約160倍だったという結果もあります。
さらに、和式トイレを「怖い」と感じる子どもがおり、トイレを我慢する原因になる場合もあるそうです。
子どもがトイレに行きたがらないと、大人はつい「遊びに夢中なのかな」と考えてしまいそうですが、設備への不安が隠れている可能性もあります。
学童保育の仕事に携わる人にとっても、子どもの何気ない行動の背景を考える視点は持っておきたいものです。

 地域によって大きく異なる洋式化の状況

学校トイレの整備状況には地域差があります。
2023年度の文部科学省調査で、公立小中学校の洋式トイレの割合が最も高かった富山県は86.5%でした。
一方、最も低かった山口県は47.2%でした。
国が目標値を95%としていることもあり、山口市教育委員会は2025年度、約850基の和式便器を一気に洋式へ取り換えました。
学校からも、和式を嫌がる子どもや、そもそも使い方が分からない子どもがいるという声が寄せられていたそうです。
その結果、2024年度末に56%だった洋式化率は95%を超えました。
こうした話を聞くと、「学校なのだから子どもが設備に合わせる」という考え方だけではなく、今の子どもの生活に合わせて環境を見直すことも必要だと感じます。
学校だけでなく学童保育でも、トイレや手洗い場など、毎日使う設備に子どもが困っていないか確認することは大切でしょう。

 トイレは衛生面だけでなく心理面にも関わる

「学校のトイレ研究会」の冨岡千花子事務局長は、トイレが子どもの心理面や健康面に直結する場所だとして、整備の優先順位を上げる必要性を訴えています。
確かに、子どもにとって学校生活の困りごとは、勉強や友人関係だけとは限りません。
「和式しか空いていないから入りたくない」「使い方が分からない」といった小さく見える困りごとでも、それが毎日のことになれば負担になりそうです。
特に低学年の子どもでは、自分の困りごとを大人へうまく説明できないことも考えられます。
学童保育でも、トイレを長時間我慢している様子や、特定のトイレを避けている様子などがあれば、単純に注意する前に理由を聞いてみることが必要ではないでしょうか。
設備を変えるだけではなく、子どもが「困っている」と伝えやすい雰囲気をつくることも、大人にできる環境づくりの一つだと思います。

 災害時には地域全体を支える設備になる

学校のトイレを考えるうえでは、災害時の役割も忘れられません。
学校は避難所になることがあり、その際には子どもだけでなく高齢者や障害のある人も利用します。
2016年の熊本地震後に「学校のトイレ研究会」が避難所利用者へ行ったアンケートでは、地震直後に不便だったこととして「トイレ」が67%で最も多くなりました。
常設トイレについて困ったことでは、「和式便器が多い」が36%で最多でした。
熊本市教育委員会は、地震で明らかになった課題や生活様式の変化を受け、2021年度から10年間で小中学校トイレの完全洋式化を進める計画です。
2020年9月に37.6%だった洋式の割合は、2025年度末には67.3%まで上昇しました。
学校や学童保育の環境整備は、普段そこで過ごす子どものためだけのものではありません。
いざというときに地域のさまざまな人が安心して使える場所にするという視点も必要です。
子どもの「使いにくい」「怖い」という声を小さな問題として片付けず、毎日を安心して過ごせる環境について考えていきたいものです。

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