新たな居場所「チャレンジクラス」不登校児童を支える東京都の対策
2024年度、不登校となっている小中学生の数は35万3970人に達し、過去最多を更新しました。
教室に入りにくさを感じている子どもたちの新たな居場所づくりとして、文部科学省は校内教育支援センター(SSR)などの設置拡充を進めています。
こうした流れの中で、東京都ではSSRに加え、「チャレンジクラス」という新たな取り組みも試験的に導入しています。
今回は豊島区立西池袋中学校の事例が紹介されています。
チャレンジクラスは前年度から開始された制度で、現在は都内の公立中学校14校に設けられています。
不登校の生徒が特別に編成された教育課程で学ぶ「学びの多様化学校(不登校特例校)」に近い仕組みを、校内に設置した学級として位置づけられています。
一般的に校内のSSRは、在籍している学級の授業にオンラインで参加したり、自習を行ったりするための場として活用されることが多いです。
これに対し、チャレンジクラスは独立した「学級」として運営されている点が特徴です。
学校の規模に応じて東京都が4~6人の教員を配置し、生徒一人ひとりに合わせた個別の教育課程を編成して学習を進めていきます。
西池袋中学校では本年度、専任教員5人が配置され、学年の異なる計12人の生徒が在籍しています。
(※2025年11月9日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
多様な学びの場を提供、進学への意欲と安心感を与える
「進学に向けて努力したい」と語る3年生の女子生徒(14)は、2年生の秋頃からSSRを利用し、オンラインで授業を受けてきました。
しかし、疑問点をその場で質問できないこともあり、学習内容の理解が十分に深まらないと感じていたといいます。
成績は5段階評価で提出物や定期考査を中心に判断され、1~2の評価が続いていたため、高校進学を見据えるうえで不安を抱えていました。
その後、チャレンジクラスに参加するようになり、学年ごとの少人数による対面授業を受けられる環境が整いました。
すると、3年生の1学期には成績が4~5へと向上し、「進学に向けて前向きに取り組みたい」という気持ちが強くなったと話しています。
以前、SSRを主に利用していた時期は、体育や美術、家庭科などの実技科目を受けるには在籍クラスに戻る必要がありました。
一方で、チャレンジクラスでは実技科目の授業も用意されており、運動会や修学旅行といった学校行事にもこのクラスの一員として参加することができます。
また、校内に複数の居場所があること自体が大きな安心感につながっているといいます。
高校受験を意識すると、「学力を上げるには在籍クラスに戻らなければならないのではないか」というプレッシャーや不安があり、SSRか在籍クラスかの二択しかない状況は精神的な負担が大きかったそうです。
しかし、チャレンジクラスという新たな選択肢が生まれたことで、成績への不安が軽減され、学習への意欲も高まりました。
現在もSSRは休息の場として活用しており、「疲れた時に安心して過ごせる場所で、気持ちに余裕が生まれる。校内に様々な居場所があるのは心強い」と話しています。
別の女子生徒(14)も、チャレンジクラスでの学習に疲れを感じた際にはSSRを利用し、状況に応じて使い分けているとのことです。
東京都はチャレンジクラスの整備費として、昨年度と今年度を合わせて約7000万円の予算を計上しています。
西池袋中学校の八尋崇校長は、「SSRがあることで自宅から一歩踏み出せる生徒がいますし、少人数の学級だからこそチャレンジクラスに安心して通える生徒もいます。一人ひとりに合った居場所を用意することが重要です」と述べています。
増えるニーズに追いつかない人員・・・
一方で、チャレンジクラスの運用には課題も指摘されています。
東京都はこの学級を「40人学級」として想定しているため、在籍生徒数が40人を超えない限り、学級数が増設されない仕組みです。
そのため、1クラスの人数が増えすぎると、集団環境に負担を感じてチャレンジクラスを選んだ生徒にとって、再び通いづらくなる可能性があるのではないかと、八尋校長は懸念を示しています。
また、配置されている教員や使用できる教室の数も十分とは言えない状況です。
専任教員が5人ではすべての教科をカバーすることが難しく、他の教員にも指導を依頼しながら対応しているのが実情です。
さらに、今後在籍生徒が増加した場合でも、その人数に応じて教員が追加配置される仕組みにはなっていません。
現在、国の中央教育審議会では次期学習指導要領の検討が進められており、不登校の子どもの学習のあり方についても議論が行われています。
八尋校長は、「誰一人取り残さない学校を実現するためには、個々に応じた指導ができる人員体制と、それを受け入れる十分な環境整備が不可欠です。
現状の学校の資源だけでは、個別最適な指導を十分に行うことは難しい」と述べています。